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PNC TJ1604 97-002, 27 Pages, 1997/03
1)非保存性物質の流動過程を溶存酸素極小層の酸素に注目して、約10万個の標識粒子を時間を逆戻りにして50年間追跡した。各層へ流入してくる海水の、その層の溶存酸素濃度への寄与率を評価する測度を新たに導入した。注目している海域の溶存酸素極小層で酸素を獲得した水は、その層自身の溶存酸素濃度にはほとんど寄与しないで、層外へ出て行くことが分った。入れ替わって入ってくるのは、より上層で酸素を獲得した水である。酸素を獲得してから終着点に到達するのに要する時間は、溶存酸素極小層へ来る粒子が最も長い年数を必要とすることも分った。酸素消費率は、0500m層で0.1ml/l/yrより大きい。また、酸素消費率は、鉛直拡散過程から予想されるような、指数関数的な減少をしていない。2)海水構成の時間変化と滞留時間を調べた。北極海、南極海などの小海域では、10年位で一度流出した海水が再び戻ってくる。各層起源の水のその層への残留量の時間変化から滞留時間を評価した。この残留量の時間変化は、必ずしも指数関数的な変化ではないが、e-folding timeとして評価した"平均年令"は、表層で1030年、中層で30120年、深層で60300年である。海水が入れ替わるには、さらに長い時間が必要で、例えば残留量が初期の体積の10%に減少するには、表層で40140年、中層で70600年、深層で1301600年が必要である。3)等密度面混合を考慮した定常流動場を診断的に求めた。流速ベクトル場でみると、従来の流速場と著しく変った所は無いように見える。流速場の信頼度をSarmient and Bryan(1982)の2つの測度を用いて検討したが、スキームの異なる2つのモデルの信頼度の評価にはGamma ratio I2は適切ではないことが分った。粒子群の鉛直変位は明らかに差が現われている。等密度面が大きく傾いている高緯度海域では、より現実的な流動状況になっているだけではなく、赤道海域でも有意な変化が現われている。4)平成4年度8年度の研究成果のまとめ(別冊)を行った。*本報告書は、京都大学大学院理学研究科地球物理学教室が動力炉・核燃料開発事業団の委託により実施した研究の成果である。
塚田 隆; 寺門 宙; 江幡 功栄; 上野 文義
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の原子炉格納容器には冷却水が循環注入されており、容器構造材である炭素鋼の海水成分を含む水による腐食について検討する必要がある。前報では、鋼材試験片の腐食速度が希釈海水中と大気中を出入りする回転により常時水中で回転する場合に比べ増大することを報告した。現在、事故炉の格納容器内には水素爆発防止・鋼材腐食抑制のため窒素ガスが注入されているが、窒素中の残存酸素が鋼材腐食に影響し、また格納容器壁面の水面付近は気液相に交互に晒される。このため、鋼材試験片を酸素の微量を含む窒素中と希釈人工海水中を交互に出入りさせる回転腐食試験を30Cで500時間実施しその腐食挙動を検討した。